Last modified: Tue Mar 1 00:15:09 JST 2011
手持ちの炊飯器で時間は掛けても手間はかけずに作る
スロークッカー料理
「疲れて家に帰ってきたら熱々のカレーやシチュー、おでんが出来上がっている」というのはどうだろう。それもインスタントやレトルトではなく、ちゃんと時間を掛けて作った煮込み料理が。この「夢」をかなえてくれるのが、Slow cooking のテクニックである。アメリカでは色々本が出ているが、日本では、その良さが紹介されても定着せず、せいぜい短いブームで終るのが常で需要も少ないのか、スロークッカーは製品が出てもすぐに製造中止になる場合が多い。 (買えなくはないのだが)
必要性
若い頃は週末はたっぷり時間を掛けて自炊をした。しかし中年も後半に差し掛かった今、忙しくて時間が取れない上に疲労の回復が遅く「材料は買ったが疲れて料理なんかできない」という場合も多い。そこで手抜き料理を模索してきたが…やはり、ちゃんとした物を食べたいという気になる。
スロークッカーは、全ての料理に向くわけではないが、煮込み料理などには向く。そこで試してみた。
方向性
「ではスロークッカーを購入しましょう」というのでは芸が無い。実際、私の家には、「これで料理を作るはずだった」ものの、ほとんど使用されない道具が幾つかある。例えば、揚げ物の鍋など。(揚げたてなら値頃な冷凍物でも結構、美味しいのだが、油まみれの換気扇を掃除するのが嫌なものだから「揚げ物はすまい」と決めたので) よって「あれを買えば作れる」というのは置いておいて、試しに炊飯器で作ってみる事にした。どうしても欲しくなったら買えばいい、という発想。
目標は
- 経済的
- 省労力
- 栄養とボリュームは満点な事
- 味は「食べられれば良し」とする
とした。
情報収集
書籍
動画
保存の利く食材で美味しい料理を作る
買い物をするだけでも時間がかかるし、疲れて家に帰ってきてから買い物というのも切ない。だいたい、帰る頃には店など閉まっているのである。そこで、日持ちのする冷凍肉、ジャガイモ・ニンジン・タマネギなどで、「買い物をしなくてもディナーが作れる」を目指す。
よって、必然的に「まずはカレーやシチューが作れれば」となる。
考察
炊飯器の「保温」で作ってみると、煮えるのに8時間ほど掛かる。4時間では生煮えである。(スロークッカーなら4時間でも何とかなるかもしれないが) よって、「家に帰れば熱々のカレーやシチュー」を実現するには、朝に材料を下ごしらえして炊飯器に入れて出かける以外に無い。「これをデメリットにしないためにはどうするか」を工夫する必要がある。
実際の作り方
共通の Tips
スロークッカーで料理をするためのノウハウ
スロークッカー用に分量を計算されているわけではない、一般の鍋などを使う前提のレシピに比べ、水は少なくする。(20%〜50%減らす)
生暖かい状態が長時間続くと細菌が発生する可能性があるので注意。最初に沸騰させて細菌を殺してから低温で長時間、調理する。
本物のスロークッカーではなく炊飯器で代用するためのノウハウ
炊飯器の保温はメーカーによらず70度ほど、らしい。 (料理もできる多機能炊飯器の場合は保温の温度を変えられるようだ)
水から料理すると時間がかかるのと、「炊飯」で沸騰させると油を含んだ汁が吹きこぼれて掃除が手間だろうと思ったので、沸騰させたものを保温だけする。
内釜は100度程度なら耐えられる筈であるので、直接ガスこんろに載せて加熱。もちろん空焚きは絶対にしない事。
水加減だが、炊飯器で代用する場合は、スロークッカーと比べれば「湯気が出ないわけではない」ので、一般のレシピを流用する場合、本物のスロークッカー程には水を少なくしなくて大丈夫。
カレーの作り方
目標:レトルトカレーより美味しければ良しとする。なお、台所があまり綺麗ではないので写真はありません。
材料
今回は市販のカレールーに、値頃で美味いので気に入っている「こくまろ 辛口」を使用。箱に記載の指示によれば、ルウ半量で5皿分とあるが、私の場合、これを2回ぐらいで食べてしまうのであまり参考にならないと思うが、水は若干、少なめにする。ただし具は倍ほど入れた。ルウ半量で水は 600cc、肉は400g、ジャガイモ3個、ニンジン1本、タマネギ1個。
- 炊飯器の内釜に水を張り、ガスこんろに載せて加熱開始。(沸騰したら火は止める事)
- 冷凍鶏肉を一口大に切って釜に入れる。ジャガイモ、ニンジン、タマネギも切って釜に入れる。気が向いたらニンニクも。
- 釜を加熱して沸騰させる。気が向いたらアクをすくう。(私は金属製の茶漉しを使っている)
- カレールーを割って入れる。
- 釜を炊飯器に入れ、8時間保温する。
- これで熱は通るのだが、温度が低くてとろみがつかないので、釜を再度ガスこんろに載せて加熱し沸騰させる。
普通は「鶏肉はフライパンでキツネ色に焼き色をつけて」とするのだろうが、「男の自炊」なのでそんな事はしない。「アクなんか気にしない」でもオッケー。
これでカレーが出来上がり。2kg 760円の鶏肉だが結構、美味しく煮えている。勤め先の食堂やチェーン店のカレーより旨い。というか、とにかく大きい肉と野菜が一杯!
→ それより問題は「ご飯が炊飯器で炊けない」という事である。
洗い物を簡単にするコツ
カレーは炊飯器の内釜からスプーンですくってごはんと交互に食べるのだが、最後にごはんで釜を拭くようにしてかきまぜる。
カレーを平らげたらヤカンで湯を沸かし (内釜を直接加熱して沸かすとカレーの残りがこびりつくかな、と思って) 釜に入れて、カレーのルーをなるべく洗い流すように回す。そしてインスタント味噌汁を作って飲む。「カレーを食べている時に味噌汁が飲めない」という重欠点があるが、内釜を洗うのが楽になる。おわんの代わりに炊飯器の内釜で飲む味噌汁も、いかにも男の自炊らしくて良いかと。
冷凍野菜でカレーを作る
週末だけの自炊ではニンジンやタマネギが余ってしまう。そこで翌週に使うために、余りは切って冷凍しておいた。
さて、新たな週末である。
- 八百屋でジャガイモだけを買ってくる。 (メークイーン、100円で6個)
- 夜のうちに、冷凍の鶏肉・ニンジン・タマネギを炊飯器に入れ、蓋をする。
- 翌朝になると自然解凍されている。切ったジャガイモと、割ったルウ半量を入れる。
- 水は 600cc 加え、内釜をガスこんろで加熱して沸騰させる。ルーは既に入れてしまったのでアクはすくえないが、気にしない事にする。
- 粗熱が取れた頃に内釜を炊飯器に入れ、保温スイッチを押す。
- 8時間後、鶏肉にも野菜にも火が通ったカレーが出来上がる。
味だが、悪くはない。
シチューの作り方
目標:粉末スープより美味しい事。
材料
水は 900cc、肉は400g、ジャガイモ3個、ニンジン1本、タマネギ1個。
- 上記 1〜3 に同じ
- 8時間保温
- 念のため食べる前に再度、沸騰させる。
- 塩と胡椒で味を調える。
→ 水はもっと少なくても良かったかも。
ダシは鶏肉や野菜から出るので、コンソメやブイヨンは無くても構わない。 (少なくとも「男の自炊」レベルでは) あとはコンビニで買った食パンでもあれば立派な食事になる。とはいえもうちょっと味付けがうまくできれば「自炊」が「料理」のレベルになるな、と感じた。でもブーケガルニとかは無理ですね…
おでんの作り方
目標
準備時間は20分以内
- 冷凍鶏肉は前の晩から解凍する。
おでんのセットは紀文の物を 298 円で購入。ツユ付き。後は、昆布を用意。
「炊飯器だけで作る」という方針に反しているが、ゆで卵は別に作った。
- ツユは 1 L の水で希釈すると袋に書いてあるのでその通り 1 L の水を炊飯器の内釜に入れる。解凍したタマネギも加えた。ガスコンロで沸騰させ、アクをすくう。
- アクをすくったら、おでんの具を投入。 (あまり長時間煮るのは好ましくないと思った巾着入りの餅は後で入れる) 昆布も好きなだけ入れる。
- 練り物だけでは寂しいので、ジャガイモとダイコンを買ってきて皮を剥いて、これも投入。しかしどう考えても「野菜は練り物の下に敷く」が正解であろう。
- ジャガイモとダイコンとなるべく内釜の下に押し込んで、沸騰させる。
炊飯器に入れて「保温」。
- 約8時間後。巾着入りの餅を投入。
30分後 (この間にご飯を炊いた) ええ、煮えてます。味ですが、「自炊にこれ以上のクオリティーを求めても仕方がないでしょ?」という位の出来栄え。お腹いっぱいに食べました。安い冷凍の鶏肉でしたが、割合にいける味でした。
残りはまた炊飯器に入れたままにしておいて、翌日の晩に内釜をガスコンロで沸騰させてから「保温」。ご飯を炊いて平らげました。味が染みてさらに美味しかったです。
次回に作る際のヒント
- 食べ残しを、コンセントを抜いた炊飯器に入れたまま、翌日の晩に再加熱して食べるというのは、冬なので特に腹痛などは起こさなかったが、気温が高い時期は腐敗が進む可能性があるので止めた方がいいかと。
→ でもやっぱりおでんって、冬の料理だからあまり関係ない (夏に作って食べ残しを冷蔵して翌日に、という事はあまりない) かも。
- 私は2回で食べたが、普通の食欲の人なら4回分ぐらいになるのでは。
- 料理が下手なので、準備に20分以上かかっている。ジャガイモの皮を剥き芽を取るのにモタついた。
- 「週末の自炊」という場合、どうやって金曜中にジャガイモとダイコンを買うかが問題になる。まぁ…おでんのセットと一緒に買う、だろうけど。
- ジャガイモはバラ売りされていた大きい物を買ったが、味が染みない。
- 味は良いが煮崩れしやすい男爵系のイモが、スロークッカーで料理すると煮崩れしないというのは利点に感じる。普通は崩れにくいメークイーン系のイモを使うしかないからだ。
- 男の週末の自炊では、ダイコンを買っても持て余す。 (半分であっても)
- ダイコンは厚さは 2 cm 程度に切った。面取りや隠れ包丁は入れなかったが問題は無い。それより、大きすぎて食べにくい。「ダイコンだぞ〜」って感じを出すのなら大きいままで構わないが、屋台やコンビニで売るおでんとは違うので、ダイコンはいちょう切りの方がいいんじゃないかな。食べやすいし。
- 巾着入りの餅は固いままだった。70度ではアルファ化しないのか?
- 昆布は「一番安い昆布」ではなく、結び昆布ぐらいでも良かったかな。
こはもう「次回もおでんを作るぞ!」